WWDC 2015で発表された新しいOS X “El Capitan”では様々な新機能が発表されました。
その中でも、日本のユーザーにとって重要な日本語入力==漢字変換に関する新しい技術が発表されたので注目したいと思います。
漢字変換にスペースバーが不要になる
へー、そうなんだ。と言いたくなるところですが、なかなか画期的です。
日本語で文章を打っているともっともよく使うキーの一つといえるのではないでしょうか?(あるいはバックスペースかも(笑い))
なぜスペースバーが必要か?
そもそもなぜ漢字変換を行うのにスペースバーが必要かというと、古くは文節の切れ目を指示するためでした。
初期の漢字変換ソフトは複数の文節を同時に変換することができませんでした。なので、「今日の天気は晴れです」と打ちたかったら、「今日の/天気は/晴れです」のように、”/”のところでスペースバーを打たなくてはなりませんでした。
それが、漢字変換ソフトが賢くなり、今では複数の文節を一度に変換することが可能となっています。これにより、逆に文節間のつながりから漢字変換の精度をよくすることも可能となり、現在の主流となっています。
El Capitanではどうやってスペースバーを不要としているのか
「ライブ変換」と呼ばれる機能で不要とします。
この変換では、日本語を入力すると、自動的に文章を解釈し、文節の切れ目や適当な漢字を判断します。
つまり、ユーザーはとにかくひらがなを打っていけばあとはライブ変換が自動的にそれを漢字付の文章にしてくれるわけです。
現在のWindowsの変換機能も、実は自動変換機能が入っていて、ある程度長い分を打つと自動的に変換してくれたりします。これに対して「ライブ変換」は「ライブ」であるところが特徴で、とにかく入力したら即変換をしてくれるようです。
理想的にはこれによってユーザーは漢字変換のことを考えずに文章を打つことだけに集中することができます。
最近のPCは文章を打つ時にはCPUパワーは余っているでしょうから、余裕でこれくらいの作業はこなすのでしょうね。
そんなにうまくいくのだろうか?
確かにスペースバーを打たなくてよくなると、打たなくてはいけないキー数は減るかもしれません。でも、そんなにうまくいくのでしょうか?
漢字変換精度の問題
現在の漢字変換ソフトは精度がよくなったとはいえ、100%の精度を出してくれているわけではありません。
それは、同じ読みで違う漢字になるケースが多々あったり、ユーザーがイレギュラーな文章を入れたり、辞書にない言葉を入れたり(口語とか)という場合には対応しきれないのが一因かと思います。
また、そもそも漢字変換ソフトの限界ということもあります。
精度がいいといわれてノウハウを多数持っているATOKでさえそうなのですから、果たしてAppleが出してくる漢字変換ソフトの精度がどの程度なのか。iOSの漢字変換が抜群にいいとは言えないと思うのですが。。。
変換精度が低いと、変換の出戻りが増えます。そうすると、修正に時間がかかってかえって悪くなることも考えられます。
使うユーザーの意識の問題
こっちのほうが問題になるのではないかと思います。
パソコンを使っている人の漢字変換を見ていると、それほど長い文節で変換を行っていないように思います。長くても2文節程度、ひどいときは漢字1文字を変換するときもあります。
これは、やはり漢字変換ソフトの精度が低いということを前提に、できるだけ出戻り少なく自分の所望の文章を打ちたいという気持ちからだと思います。
連文節変換ですらこんな状態ですから、「これからはライブ変換ですよ。スペースバーは打たなくてもいいですよ。」と言われて果たしてみんな追随するのか。
もちろん、文章を日常的に描くような人にとってはスピードは重要でしょうし、ライブ変換が非常にありがたい機能になる可能性はあります。ただ、一般のユーザーにとっては余計なお世話になりかねません。
不安はあるけど革新的な機能
不安はありますが、久しぶりにPCの漢字変換にやってきた革新的な機能であると思います。
使ってみると実はすごい使いやすかったりして、これからのデファクトになる可能性がないではないです。Appleの本気度に期待したいと思います。
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