スマホに搭載されるSoCはQualcommのSnapdragonシリーズが一般的ですが、MediaTekのSoCも一定のシェアを持っています。
そんなMediaTekの新しいハイエンドSoCであるHelio X30を発表しました。
QualcommのハイエンドであるSnapdragon 835に比べてどうなのでしょうか?
3種類のCPUコアを搭載するHelio、1種類のSnapdragon
単純なSoCのスペックを比べると以下のようになります:
Helio X30 | Snapdragon 835 | Helio X20 | |
CPU |
Cortex A73 x 2@2.5GHz Cortex A53 x 4@2.2GHz Cortex A53 x 4@1.9GHz |
Kyro 280 x 8@2.45GHz |
Cortex A72 x 2@2.6GHz Cortex A53 x 4@2.0GHz Cortex A53 x 4@1.6GHz |
GPU | PowerVR Series 7XT Plus@800MHz | Aderno 540 | Mali-T880 MP4@875MHz |
製造プロセス | 10nm | 10nm | 14nm |
まず、Helio X30とSnapdragonの大きな違いは搭載されるCPUコアです。Helio X30が3種類のCPUコアを合計10個搭載するのに対し、Snapdragon 835は同じコアを8つ搭載しています。
単純なコア数ではHelio X30の方が多いのですが、Helioは高速なCPUコア(Cortex A73)は2つしかなく、あとは比較的低速なCortex A53です。一方、Snapdragon 835は高速なCPUコアを8つ搭載しています。このため、Cortex A73とKyroコアの違いはありますが、最高性能という意味ではSnapdragon 835の方が高いかもしれません。
一方、スマホにあまり負荷がかかっていない状態の消費電力という意味では、MediaTekは低速ですが効率のいいコアを使えるのに対し、Snapdragonは常に高速なコアしか使えません。このため、もっとも低い消費電力という意味ではHelio X30の方が低いかもしれません。ただ、どのように使用するコアや動作周波数を決定するかも重要な要素になりますので、単純にSoCの仕様がそのまま消費電力に直結しないことも考えられます。
一方、前世代のHelio X20と比べると様々な点が改善されています。最も高速なCPUコアがCortex A72から新しいA73に変更され、さらに中間のコア及び低速なコアの周波数が向上しています。
また、SoCの製造プロセスもより微細化していますので、消費電力の低減が見込まれます。
はやりのデュアルカメラやHDRをサポート
Helio X30の面白い機能としては、最近はやりのデュアルカメラをサポートしている点が挙げられます。
専用のプロセッサを搭載することで、CPUで処理する場合のわずか10%の電力でデュアルカメラを処理できるとか。デュアルカメラを使って奥行きを推定したり、ズームレンズを実現するのが一般的になっていますのでありがたい機能かもしれません。
また、4Kかつ10-bitのHDR動画を処理できる初のSoCであるそうです。スマホに必要なのか?という気がしなくもないですが、Xperia XZ PremiumにはHDR動画がサポートされているそうなので、ハイエンド用途では需要があるかもしれません。さらに、タブレット用途や2-in1 PCへの応用も考えられるかもしれません。
2017年第2四半期にX30搭載スマホが登場予定
このHelio X30は2017年の第2四半期に搭載した初のスマホが登場するそうです。
日本でもFREETELのKiwami2がHelio X20を搭載していますので、X30が搭載されたスマホの登場も十分期待できます。
Snapdragonの一人勝ちでは面白くないのでMediaTekにも頑張ってほしいですね。
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