ちょっと前から低温調理器が話題になっています。
肉を低温で長時間調理をすると柔らかくジューシーに仕上がるのだとか。
でも、売っているものはどれも大きくて高い。。。よく考えたら構成部品は単純なのだから、自作できるのでは?と思って試しました。
長時間、ということでランニングコストにも気を使っています。
人気の低温調理器
低温調理の特徴は何と言ってもその温度です。
通常、100度とかそれ以上で調理するところを、それより低い温度で調理します。
通常、たんぱく質が固まる温度は55~68度なのだそうですが、それより低い温度あるいは同じくらいの温度で調理することで柔らかい食感とジューシーさを保てます。
なお、菌や寄生虫等が死滅する温度にも気を付けないと食中毒を招いてしまいますので、そのあたりは自己責任のようです。
名のある製品は高い
そんな低温調理を家庭で手軽に、と売られているのが低温調理器です。
一番メジャーなのはアメリカのANOVAという商品です:
鍋に水を入れ、この機械を入れ、ネジで鍋のふちに固定するという仕組みです。筒の中にヒーター、温度計、スクリューが入っており、鍋の中の水の温度を一定かつ均一に保ちます。
タイマーやスマホとの連携機能もあり、便利に使えるようです。
アメリカからの並行輸入商品なので説明書等はすべて英語ですが、日本でもユーザーが多いので検索すれば使い方はわかりそうです。
一方、日本でも類似商品が発売されており、最も有名と思われるのがBONIQ(ボニーク)です:
パクリ商品じゃないか?というくらいANOVAと同じ仕組みです。スマホ連携機能はなく、価格も高いですが、日本での保証があったり説明書が日本語だったりと安心感はあるようです。
どちらも2万円くらいしますが、類似商品は山のようにあり、1万円を切るようなものもあるようです。
単純な構成要素、自作できるのでは?
私も購入しようといろいろ調べたのですが、やはり価格が気になりました。
信頼できそうな商品は2万円近くするし、安いものは不安だし。。。
そこでふと思い出したのが構成要素です。低温調理器の構成要素は以下のようなものです:
- 水をあっためるヒーター
- 一定の温度に保つためのサーモスタット(温度計)
- 水を攪拌して温度を均一に保つためのモーター
- 調理時間を調整するためのタイマー
…あれ?これって熱帯魚の水槽に似てるぞ?
熱帯魚の水槽グッズで作る低温調理器
そんなわけで、熱帯魚の水槽グッズで低温調理器を作ってみます。
ヒーター
まずはヒーターです。熱帯魚は高めの水温を好むので、水の中に入れられるヒーターというのは普通に売っています。しかも、阪神淡路大震災の時に熱帯魚の水槽が壊れ、ヒーターが外に出て火事を起こしたという反省から、最近のヒーターにはあまりに高い温度になるとヒューズが切れるという機能がついていて、長時間放っておく低温調理にも安心です。
問題は、ANOVAやBONIQは800Wとかそれ以上の出力のものですが、水温を高めに保つヒーターにそんなパワーはいらないので、高くても500W くらいしかありませんでした。とはいえ、足りなければ複数本いれればいいので、まずは300Wのものを購入しています:
選ぶときの注意点として、「サーモスタット」が内蔵されていないものを選ぶのが重要です。温度センサーと一体型になっているヒーターもあり、水槽目的にはリーズナブルなのですが、低温調理では使えません。
水槽用ヒーターの良いところは、まず、1つはヒーターにカバーがついているところです。本来はヒーターに熱帯魚が触れないように、というものなのですが、結果的に調理しているものがヒーターに触れないということになります。
また、水槽の側面に張り付けるための吸盤がついているので、鍋の底にもはりつけて固定できます。
モーター
次に水を攪拌するモーターです。これも、水槽のフィルターを動かす水中モーターがごまんとあります:
輸入物も含めれば安いものはたくさんあるのですが、一応安心感を考慮して日本のメーカーのものにしました:
こんな感じで、横から吸った水を上にはいてくれます:
低温調理器のようにプロペラなわけではないですが、水が混ざればいいのでこれでいいかと。
こちらも鍋の底に張り付けられる吸盤付きです。
サーモスタット
温度を一定に保つためのサーモスタットはさすがに水槽用品ではだめでした。
熱帯魚が快適に暮らす水槽は高くてもせいぜい30度程度なので、水槽用のサーモスタットでは低温調理ができません。
そこで、汎用のサーモスタットを購入しました:
温度測定範囲はー50度~110度と、逆にオーバースペックです(笑)。なお、海外向け商品なので、プラグが3口になっています。日本の普通のコンセントに刺すには変換プラグが必要です。
後から気づいたのですが、同じメーカーのもっと安い商品もあるようです:
今思うとこっちでも十分だったかな?と思います。
こだわる人はRaspberry piと温度センサーを組み合わせて作るという方法もあるかと思います。これなら頑張ればスマホとの連携も可能です。私的には、水があるところの近くでRaspberry piは危ないと思い、コンサバな方法にしました。
タイマー
水槽用にもタイマーはあります。値段はピンキリですが、低温調理に使うならこんなので十分です:
指定した時間に切るだけでなく、指定した時間につけることもできます。
ランニングコストにも気を遣おう
低温調理の問題の1つにランニングコストがあります。低めの温度とはいえ、高めの温度を長時間保つにはコストがかかります。
調理も水槽で、と言いたいところですが、熱帯魚用の水槽は人間が見やすいようにできていても熱を逃さないようにはできていません。
低温調理の場合は人間が中身を横から見れる必要はないので、クーラーボックスを鍋代わりにすることにしました。
クーラーボックスなら内部の温度を保ってくれます。
この商品の良いところは、小さくて、安くて、しかも蓋が取れるところです。コードが出る分どうしても蓋が完全にしまらないため、たとえば発泡スチロールを買ってきてコードの分の穴だけあけて上に載せるのもありかな、と思いました。
他に、100円ショップで発泡スチロール製のクーラーボックスを買うというのも候補だったのですが、ヒーターやモーターの吸盤がくっつかないのと、水漏れが気になるのでやめました。
いざ組み立て!でも早々に失敗が明らかに
早速それぞれの部品を注文し、早速組み立て、したのですが早々に問題が明らかになりました。
なんと、ヒーターが長すぎて斜めにしないとクーラーボックスに入りません。調子に乗って、ヒーターを「PRO」がついているものにしたのが失敗だったかもしれません。
斜めにすれば入るので使えなくはないのですが、水を満タンにしないとだめなのと、低温調理で長時間置いておいたときに水が蒸発してヒーターが露出するのが心配なので断念。。。
改めて短めのヒーターを注文することにしました。今度はちゃんとクーラーボックスの長さの測定をして買いました。
このシリーズの300Wのものでもいけそうでしたが、ビビってしまったので200Wです。足りなければもう一本追加すればいいかと。
もしくは、クーラーボックスを同じシリーズの一回り大きいものにしてもいいかもしれません。一度にたくさん調理したい人はこちらで良いかと思います。
このヒーターが来たら組み立てて実際に試してみた編の記事を書こうと思います。
(追記):実際に使ってみました。
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